2023年5月に新型コロナウイルスが5類へ移行してから、国内の観光産業は活気づいており、日本人だけでなく多くの外国人が日本を訪れるようになりました。そんな中で日本のカルチャーや歴史的なデザインに興味を抱く人も増えてきています。

株式会社和心は、日本がこれまでに培ってきたカルチャーを現代の暮らしに再提案し、世界に向けて発信することで持続可能性を目指しています。現在の業況も受け、株式会社和心やその代表取締役を務める森智宏氏は、展望についてどのように見据えているのでしょうか?

今回は、株式会社和心や代表取締役の森智宏氏について解説しつつ、インバウンドの業況や株式会社和心の展望についてご紹介します。

株式会社和心とは?会社概要をご紹介

株式会社和心 公式サイト

まずは株式会社和心がどのような企業なのか、概要をご紹介しましょう。

社名 株式会社和心
代表取締役 森 智宏
設立 2003年2月7日(1997年7月創業)
上場証券市場 東京証券取引所グロース市場(証券コード9271)
本社所在地 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-20-12 和心ビル

株式会社和心は、日本のカルチャーを世界に発信して持続可能性を目指すことをミッションに掲げています。主に和のデザインを取り入れた商品の企画やデザイン、製造などを担い、また店舗設計や運営なども行っています。他にも、Webデザイン・ECサイトの運営・コンサルティング事業も併せて展開しています。

和心の代表取締役・森智宏氏のこれまでの歩み

国際アントレプレナー賞受賞の森智宏氏
株式会社和心の代表取締役を務める森智宏氏は、どのような経歴を持っており、どのような想いで和心を創業・設立したのでしょうか?

森智宏氏は1978年に東京都足立区で誕生しました。元々経営者の家系であり、小学生の頃から起業したいと考えていたそうです。現在の事業を考えついたのは18歳の頃で、翌年には和柄アクセサリーブランドの「かすう工房」を創業しています。

最初は一軒家の2階にある一部屋を間借りし、個人事業としてスタートしましたが、1998年にはアクセサリーのOEM事業を開始し、その翌年には渋谷区代官山に初店舗をオープンさせています。また、同年に楽天市場での通販事業をスタートさせ、2003年2月に資本金1,000万円で株式会社和心を設立しました。

その後も順調に事業規模を拡大していき、2018年に開催されたグローバル人財フォーラムにて、国際アントレプレナー賞 インバウンド特別賞(NBC会長賞)を受賞しています。

【2024年】インバウンドの業況

株式会社和心が主に取り扱うかんざしや箸、和傘などの和雑貨・和小物は、日本人にも向けた商品となっていますが、世界に向けて日本のカルチャーを発信することを経営理念として掲げていることもあり、外国人にも選ばれる商品づくりが行われています。

観光地への出店も多いことから、株式会社和心とインバウンドは大きく関係していると言っても過言ではありません。

インバウンドの現状

JTB総合研究所が公表する「観光データ速報」では、2024年8月の推計値が2,933,000人で前年同月比よりも36%増加しており、2024年の累計が24,007,922人となっています。
2023年の累計訪日外国人数は約2,500万人ということもあり、2024年は2023年の累計を上回る可能性が高いです。

また、帝国データバンクが公表する「TDB景気動向調査」において、観光DIの推移が18カ月連続ですべての産業の景気DIを上回ったことがわかっています。

観光DIは観光産業に属する企業の景気判断を総合的に評価した指標で、50より下回っていると景気が悪い、50以上だと景気が良いと判断されます。観光DIは2024年8月時点で47.2と50を下回っているものの、50にかなり近い数値となっており、また全産業の景気DIが44.3になるため、全産業の中でも活気づいていることがわかります。

インバウンドにおける課題

今後もインバウンド需要は高まると予測されていますが、その一方で課題となっている部分もあります。例えば「オーバーツーリズム」です。

特定の観光地に人が集中してしまうことで、交通機関の混雑を招いたりゴミが錯乱したりするなどの悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。オーバーツーリズムによって地域住民の生活環境だけでなく、自然環境や景観も損ねてしまうため、観光客の満足度低下にもつながってしまいます。こうした課題について地域だけでなく、企業も対策を講じていくことが重要です。

森智宏氏が見据える株式会社和心の展望とは

森智宏氏は、今後もインバウンド需要は高まっていくと考えており、この追い風を最大限活用したいと考えています。例えば、インバウンドMD事業では日本三名園の1つ、金沢兼六園に続く紺屋坂に「1円着物wargo」を新規オープンしました。

1円着物wargoは業界初の量り売りスタイルを採用し、着物1g=1円、帯全品990円という低価格で着物や帯などの和装を提供しています。

店内は国内外の観光客も利用しやすいように、多言語対応をはじめ様々な工夫が取り入れられています。また、森智宏氏は将来の夢として事業規模1兆円を目指しつつ、世界中の人に日本のカルチャーを届けて笑顔にしていきたいことを掲げています。日本の風土や自然から培われてきた独自の文化は、現在日本人でも触れる機会が少なくなっています。

森智宏氏は日本人も含めて、より多くの人に日本のカルチャーを届けて笑顔にすることを目指し、事業を展開しているのです。日本のカルチャーを多くの人に届けられれば、それだけ日本の文化を継承し続けることもでき、伝統産業の活性化に寄与できます。こうしたビジョンも見据えつつ、株式会社和心は事業に取り組んでいます。

まとめ

今回は、株式会社和心の概要から代表取締役を務める森智宏氏の経歴、さらにインバウンドの業況や和心の展望についてご紹介してきました。日本国内のインバウンドの業況は今後も伸び続けると予測されています。

日本独自のカルチャーを世界に届けることを目指す株式会社和心にとっては、さらなる追い風になっていくと考えられるでしょう。すでにインバウンド需要を見据えた事業展開を実施する株式会社和心は、2025年以降もさらなる発展を遂げていくと予想できます。今後の株式会社和心の動向にも注目していきましょう。